【書評】嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え 岸見一郎、古賀史健 感想・レビュー


自己啓発の父と言われるアルフレッド・アドラーが提唱したアドラー心理学をわかりやすくまとめてあり、ドラマ化もした大人気の一冊。本屋に行けば必ずと言っていいほど置いてあります。最近本屋に行くと200万部を突破で記念の特装版になっていました。

嫌われる勇気は心理学界ではフロイト、ユングと並ぶ3大巨匠の1人です本書はアドラーの思想を対話形式で解き明かしていきます。

読んでみて真っ先に思ったことは、何より読みやすいことです。対話形式のメリットは堅い本に読み慣れてない人にも、自分事として読み進めることができます。

どんな人にオススメ?

  • 人からの評価がいつも気になる人
  • 今の自分を変えたいと思っている人
  • 自分の意見を出せずに我慢してしまう人

本書のなかで「すべての悩みの原因は対人関係にある」と言い切っています。
対人関係に悩むすべての方におすすめで一読の価値ありです。

嫌われる勇気を簡単に要約してみる

アドラー心理学を体現した哲人と人生に悩む青年との対話形式で進んでいきます、
ある日、「人は今日からでも幸せになれる」という哲学者に対し、疑問的な青年が何とかして哲人に対し、論破しようとします。

一度は納得するも数日考えてはまた哲人のもとに訪れ、繰り返し哲人とのやり取りで対話を深めます。読者も青年と同じように自然とアドラー心理学の教えに引き込まれ、理解を深めることができるでしょう。

ここでは嫌われる勇気に書かれている内容で、重要だと思われるエッセンスを紹介したいと思います。私が選んだポイントは以下の3つです。

  • 原因論の否定、そして目的論
  • 課題の分離
  • ほめるな感謝しろ 他者貢献

原因論と目的論

ここではアドラーの提唱する目的論とフロイトの提唱する原因論を比べてみましょう。この2つの考えは対照的な考え方なので比較してみるとわかりやすいかと思います。

まずフロイトの原因論は、いま現在、その人におきている問題は過去の出来事が原因であり結果が起こったものだと言う立場をとっていますね。

過去に起きたことが原因となって、その結果として今の問題が引き起こされていると言うことです。

過去から現在へ
原因から結果へ

過去から現在、原因から結果の関係になります。こうなると、過去によって現在は自動的に決まってしまうということ。

一方でアドラーの提唱する目的論は、いま現在かかえている問題は、今の目的がそうしているだけであるという立場です。

本書では、不登校で引きこもりの男性が例に出されています。原因論で説明すると、学校で何かしら問題があって、結果として学校に行けなくなったと考えられます。

目的論では、男性が学校にいけないのは、そもそも学校に行きたくないという目的が頭の中にあるからだと考えます。

学校に行きたくないという目的がはじめにあり、目的を果たすための手段として、過去にいじめられたと言う学校での問題を持ち出しているだけだと考えるのです

このアドラーの考え方は、フロイトの原因論とは逆になっていますね。
私は最初に読んだときは「は?」となりました。

原因論では現在は常に結果であることに対して
目的論では現在は常に手段としてありつづけます。

ここでは原因論と目的論のどちらが正しいかと考えません。どちらの考え方を採用すれば、あなたの人生にとって良いかどうか判断してみてください。

原因論で考えると、現在は過去の結果であることになります。過去は変えられないから現実は変えられないことになりますね。目的論で考えるならば、すべての行動は未来の目的の手段となりえます。見方によっては、未来はどのようにでも変えられるともいえます。

過去にとらわれることなく、今この瞬間を生きるとは、いわゆる自己啓発本に必ず書かれている内容ですね。

課題の分離

この課題の分離も自分らしく生きる上で、重要なポイントです。課題の分離と聞くとなんだか難しそうなイメージですね。かいつまんで説明すると、自分がコントロールできる事は自分でがんばって行い、自分でコントロールできない事は考えるな、ということです。

自分の課題と他人の課題を分離して考えるという考え方ですね。

本書の中で例え話に『馬を水辺に連れて行くことができるが水を飲ませることができない』という話があります。

この例えに課題の分離のエッセンスがわかりやすく説明されています。つまり、馬に水を飲ませたいと思った時に水辺に連れて行く事は自分の課題であり、自分が頑張ってできることです。

ただ、水辺まで連れてきた馬自身が、水を飲むかどうかは自分にコントロールできない課題であって馬の問題であること。他人の課題に関してはもう気にするなということです。

課題の分離を理解している人は、自分の課題だけに全力を尽くす。これは自分ではコントロールできない、自分の課題じゃないなというものに関しては切り離して考えるんです。

まとめると、課題の分離とは自分の課題と他人の課題があって、他人の課題にまで悩むのは疲れるだけだよっていう話です。

ほめるな感謝しろ

アドラー心理学では承認欲求を否定しています。相手をほめる行為は一見すると良いように見えます。僕もそう思っていました。

否定する理由は、褒めるという行為が自然と上下の関係を作りだすからです。上下関係が生まれるとそれは下の人が上の人に認められたいという承認欲求につながるからです。

親にほめられたいから勉強を頑張る。人に認められたい、評価されたいから一流大学や大企業を目指す。これらはみな、他の人に認めてほしいという承認欲求の表れです。身に覚えのある方も多いのではないのでしょうか。

子どもに対してもほめるのではなく「ありがとう」などの言葉、感謝を伝えることをアドラーはすすめています。なぜなら感謝は上下関係を生み出さないからです。

ゴールが人に認められること、つまり承認欲求を満たすことを目的にしてしまうと、他人の人生を生きることになりませんか?承認欲求に支配され人の評価でしか自分の価値を実感できなくなると、認められることが行動の目的になってしまいます。

気づいたら他人の人生を生きていることになります。

承認欲求に負けるのは、課題の分離が正しくできていないからかもしれません。自分の人生を進むうえで、自分の課題は自分の信じる道を選ぶのみです。

アドラー心理学の観点では人からほめられる、評価されるために競争するのではありません。感謝されるか、他者に貢献できるかの視点が大事なのだと思います。そして相手が自分がしたことに関してどう思うかはもうそれは自分の課題ではないということです。

まとめ

本書は200万部以上を売り上げたベストセラーになりました。これだけこの本が売れるということは多くの日本人が本の内容に共感しているということでしょう。

  • 原因論の否定、目的論で考えると過去に縛られずに、今この瞬間から変えられるということ。
  • 自分の課題と他人の課題があって他人の課題にまで悩んでは疲れるので自分の課題に集中しましょう。
  • 相手をほめる行為は良いように見えますが、承認欲求を刺激してしまう。ほめるよりもありがとうなど感謝がおすすめ。

3つのポイントに絞って解説しました。青年と哲人の対話は続いていきます。この本は何度も読みこんで理解を深めるべき本です。なにせ今までの考え方をひっくり返さなくてはなりませんから。

それでも嫌われる勇気に書かれていることを理解し、日常に落とし込めていくことができたなら、自分の人生の指針になるのではないでしょうか。